matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

ファスト風土

以前、
いま、地方はパチンコとカラオケとサラ金しかないというので述べた地方の現状だが、実はこれは、新聞の新刊紹介での小説のなかで聞いたフレーズだった。
この現状をルポ風に書かれているのが、

下流同盟―格差社会とファスト風土 (朝日新書)

下流同盟―格差社会とファスト風土 (朝日新書)

いま、私の住んでいる地域には続々と大型ショッピングモールが建設が続き、旧来の商店街を飲み込んだ大型ショッピングセンターまでもがその影響を受けている。地域の商店街は無くなって行くが、ショッピングモールは新たな商店街かもしれない。違いは、地元の自営業者が商売しているわけではなく、すべてが全国的なチエーン店が店舗として入っていることだ。飲食店もかつては個人営業の最たるものであったはずが、これもまた全国規模の飲食チェーンである。もはや、地元の企業による雇用はなくなり、非正規社員による雇用しかなくなっている。
北海道の伊達市では、コンパクトな街を実現しているが、それは、行政や厚生施設を郊外ではなく、中心部に集め徒歩圏内で生活が可能となっている。人が徒歩圏内で生活するということは商店街での顧客は地域住民であり、顔見知りの社会となるが、郊外型のショッピングモールでは、自動車が移動手段であるがために、広域で膨大な他人社会でしかならない。
自宅を出て、車に乗り、ショッピングモールに行き、帰る。誰にも顔見知りに会わない。会話は家族か限られた仲間のみであり、店舗での会話はマニュワル的なものだけだ。公共交通手段であるバスや鉄道であれば、少なくとも、停留所なり駅は、地域にあり、そこに乗降する客は、地域社会の顔見知りであるはずなのだが、自動車というパーソナルな空間移動手段では、人との交流は無い。
フランスのパリでは、路面電車が復活するそうだが、エコロジーという効果以外に地域社会への影響もあるのではないかと思える。
地方が、衰退し都市部に集中化しているのだが、実は、グローバルレベルでも進行していくかもしれない。
マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで (幻冬舎新書)

マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで (幻冬舎新書)

マネーロンダリングというと、犯罪的な面ばかりに目がいきがちだが、実は金融のグローバル化とフラット化、しいてはモノ化を示している。
経済はフラット化し、国境を越えているが、税制はいまだに国単位のため資産と資金は世界を回る。
アメリカが世界で主導権を握れるのは、ドルが国際通貨であることと英語が公用語となっていることだ。国際間の金融決済は、実は、現金ではなくアメリカの銀行での帳簿記載の変更が実態であり、すべての金融機関間の国際取引はSWIFT経由となっている。国際的な政治的な統合は私の生きている間に実現するとは到底思えないが、金融的な仕組みはすでに進行している。

1日で移動できる範囲が行政領域で、「クニ」ではないだろうか。
徒歩または騎乗で到達できる範囲である。そして、1日の間に往復できる範囲が最初の行政単位であり、それが郡であろう。古来、郡司は土着の豪族であり、国司は中央から派遣された行政官であった。戦国時代には、郡単位を統合した大名が統治単位であり、より大きな規模をもった勢力に吸収されていく経過をとる。織田信長尾張の統一から美濃の攻略までに長い年月を必要としているが、美濃攻略後、その規模を超える勢力が無く、加速度的に制覇が進んでいる。
武田信玄も、甲斐の国主から信濃の攻略は郡単位に長い年月を要し、ようやく中央への進行を始めたのは50歳を過ぎていた。

武田信玄はなぜ北に向かったかと言えば、日本海経由の都入りを狙ったのだという説だ。
戦国時代というと戦乱の世で荒廃の時代だったはずだが、実は高度経済成長の時代でもある。大陸型の征服と異なり、取った駒が使えるのが日本の将棋のルールだ。征服した地域からは収入を得るためには、破壊だけではすまない。
城の構築は土木事業や都市整備の一環でもあったようだ。