matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

ヤクザに学ぶ組織論

ヤクザに学ぶ組織論 (ちくま新書)

ヤクザに学ぶ組織論 (ちくま新書)

ちょっとヤクザ礼賛的な感じがする。
博徒、的屋など古典的な感じがする武闘集団だけがヤクザではあるまい。

しかし、特異な組織であることは間違いなく、独自の価値観や規範により構築されていることはうなずける。意外だったのは、時間厳守ということだ。なんとなく自由業的なイメージがあるが、実は体育会系なのだ。

古来の武士層も自衛を目的とした自治的な治安組織だが、武力と暴力は表裏一体。イデオロギーや権威が確立していないとき、利害調整は、力が背景になる。倭の争乱と呼ばれた弥生末期や、古代の東国や終戦直後など。
武士という集団、あるいは階層が長く日本を支配し、武士道という哲学?まで生み出した。しかし、元々は開拓農民集団が地縁的なつながりで集団化したものだ。開拓は未開地だから、自衛手段として自分で武装せざるをえない。自己防衛以上の武力を持ち、集団同士の連携や同盟を繰り返し、盟主的な地位を得た時、施政者となる。その段階では、イデオロギーや哲学がその基盤の存在理由となったとき、暴力という文字は、武力となり、軍人や警察になるわけだ。