matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

信頼と科学

今年は日本人のノーベル受賞者はいないようである。

NHKのBSで高い評価をうけた科学界の大スキャンダルのドキュメンタリ番組を書籍化した

論文捏造 (中公新書ラクレ)

論文捏造 (中公新書ラクレ)

成果主義による弊害という見方もあるが、欺瞞とごまかしはどんな職業にもありがちな話である。組織全体で周囲の状況から乖離しながら組織全体が自己論理に陥っていく。組織に組み込まれている中で組織が望まない結果を明言することは困難だ。最初は、小さな辻褄合わせに過ぎなかったかもしれない。

この問題の根本は不正をいかに早期にみつけられるかということだ。
科学は高度化し、専門化がより進行している。より先端的な分野ほどその傾向が強い。そのため、最先端の分野で検証することの困難さがこの背景にあるようだ。

人には、成功し他人に認められたいという欲求がある。また周囲の期待に答えるという義務感もあるだろう。人は社会性をもった生物であり集団のなかで生きていく性を持つ。虚勢と欺瞞なくして個を保つことは難しい。