塩の世界史
- 作者: マークカーランスキー,Mark Kurlansky,山本光伸
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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塩から見た世界史です。
塩は、調味料であると同時に保存料であるため、人間にとっては生命の糧であると同時に、非常に価値のあるものだ。また、塩自体も、湿気さえきをつければ、価値が下がることなく、保存が利き、価値が変わらない。それは、金属と同様、価値そのもであるため、貨幣としての素材になる。
給料の英語名であるサラリーは、塩が語源であるというのも頷ける。
中国では、塩による税制が政権を支えてきた。また、塩は重要な軍事物資であり、塩と食料が武器以外で必要不可欠なものである。秀吉が、天下統一するなかで、それを支えていたロジステイックスは、米と塩をいかに最前線に送りつづけることができるかということだったろう。この本の著者は、アメリカ人であるため、日本に対する記述は、ごくわずかであるが、日本人はもっとも塩を使う民族として紹介されている。それは、米という植物性蛋白と炭水化物、胚芽にはビタミンまで含む完全食品に近いものを主食としている面も強い。米だけ食っていれば、いいのだが、塩分と、植物繊維が必要だ。また、米というのも、非常に保存が利く食料である。また、水さえあれば、食することができ、なおかつ、加工前には水分をほとんど持たないため、非常に可搬性が強い。
米と、塩という、保存が効き、輸送ができる食糧は他にはないのではないか。
モンゴルの世界征服は、干し肉が支えていたと言われる。世界に旅立った船乗りたちを支えてのは、ビスケットだ。保存が効き、携帯性の優れた軍糧をもった軍団が広い領域を制覇できる。