matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

令和世代のこれからの20年

還暦を過ぎて初孫に恵まれた。わたしは、団塊世代後の「新人類」と呼ばれたが、娘世代は「Z世代」と呼ばれる「失われた20年」後に子供を授かったことになる。戦中派だった私の父は、孫が成人する以前に世を去ったが、私は、この初孫の成人を見ることが、平均余命からは可能性がありそうだ。

20年後、この赤子が独り立ちし社会に出ていくときどんな社会なんだろうか。
私の世代は、幼少期は高度成長期、少年期にオイルショック、受験競争そして就職してバブル期を経て、バブル崩壊ともに家庭を持った。度重なるリストラ試練を経て、定年直前に健康問題を抱え早期退職した。振り返ってみると、収入は緩やかな上昇をとり、退職金で家のローンを終え、子どもたちを教育ローン無くして大学まで卒業させることができた。
自分自身の幼少期写真をみると、白黒で始まり、家の前の道は未舗装。家は父がローンで買った市が分譲した平屋。風呂付きだが、薪で沸かす木桶であり、トイレはドボンの和式で汲み取り便所だった。その家を建て直し水洗になったのは、高校生からである。

自分たちからすると、私達の子供世代は、「失われた20年」だが豊かで快適な環境で成長ができたと思う。インターネットやスマホが誰でも普通に使える現在が、果たして自分が二十歳のときに想像できたろうか。

今後の20年は、何が失われ、何を得ることができるのだろうか。
私は、あと20年から最大でも30数年だが、孫は80年以上は生きていくことになる。平均寿命からいけばだが。

この先、希望のもてる人生を送ってもらいたいが、私達の世代とはことなる人生観が必要になるだろう。

リタイアして、いまさらと思うが今の社会を俯瞰できればと、三冊読んでみた。
やはり、教育が大きな決定要因だが、教育コストは私達の親世代からみると飛躍的に上昇しており、そこに格差が固定化あるいは二極化するのではないかと思える。

教育の機会均等を経済的な補助強化が大きな政治課題。団塊世代の社会的負担がなくなるにはあと20年かかる。その期間が子供や孫たちにどう影響をあたえるのか不安が残る。


「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実 (光文社新書)

内容(「BOOK」データベースより)
帝王切開なんかしたら落ち着きのない子に育つ」「赤ちゃんには母乳が一番。愛情たっぷりで頭もよくなる」「3歳までは母親がつきっきりで子育てすべき。子もそれを求めてる」出産や子育ては、このようなエビデンス(科学的根拠)を一切無視した「思い込み」が幅をきかせている。その思い込みに基づく「助言」や「指導」をしてくれる人もいる。親身になってくれる人はありがたい。独特の説得力もあるだろう。しかし、間違っていることを、あなたやその家族が取り入れる必要はまったくない。こういうとき、経済学の手法は役に立つ。人々の意思決定、そして行動を分析する学問だからだ。その研究の最先端を、気鋭の経済学者がわかりやすく案内する。

  • マッチングアプリによって出会いの機会が広がるとかね、女性は男性に経済力を求めて、男性は女性に容姿を求める
  • 「母乳育児」に関する研究結果は結局、母乳の方がいい、母乳育児がSIDSを減らしているという
  • ミルクで育った子どもと、母乳で育った子どもに、16歳時点での知能発達に差異が見られなかったとしても、母乳で育った子どもが、6歳時点での知能テスト‐先生の評価がよい
  • 行動面で母乳育児の効果を認められなかったこと、知能発達の評価が長期的には有効でないという結果。
  • 日本の男性の育休制度がとても素晴らしいということ。諸外国からの評価はとても高いのに、使う人が少ないという現実。
  • 父が育休を取ると、収入は減る。けれど、子どもが16歳時点で、育休を取らなかった父の子どもと比較すると、偏差値が1アップしている。生後1年間の親子のふれあいが、その後の長期にわたる親子関係に大きな影響を及ぼす。また、最初の、たった1ヶ月の育休で、ライフスタイルが変化して、家事と育児に使う時間が増える。
  • 母の育休については、3年はとりすぎ。
  • 心理学社会学では、子を持つことが離婚につながりやすいと言われているけれど、経済学では夫婦関係が安定するという研究結果が出た。
  • 幼児教育の知能面に関する効果は8歳時点でほぼ消失。しかし40歳まで調査を続けると高校卒業率を上げ、就業率を上げ、所得を増やした。生保受給率、警察の逮捕率も減らす。問題行動を減らせる,それは犯罪を減らすことになるので、幼児教育をしたことで受ける利益が、本人だけでなく、社会全体の利益となる。
  • 4大卒の母と比べて、学歴が低い(高卒未満)と、子育ての幸福度はマイナス、しつけの質もマイナス、保育園に通うことで、子育てストレスを大きくマイナスへ、幸福度をプラスへ。また、攻撃性と多動性も、大きくマイナスとなった。学歴が子育てに深く関係しているという裏付け。幼児期に、心身の発達を満たしてあげること、それが約40年後に上記にあげたような効果をもたらす
  • 医療費とか、生活保護費、収監費用の低下につながる、高齢化に伴って高齢者にかかるお金がクローズアップされがちだけど、子どもにお金を
  • 保育園は、これだけ社会に寄与する存在で、給料が壁となって、保育園ができても保育士が集まらない。これだけの人材を作り出す専門職であるにもかかわらず。少子化なのに、待機児童がいるというこの国に、昨日からスタートした幼児教育‐保育の無償化はどれほどの効果を生み出してくれるのか

上級国民/下級国民

上級国民/下級国民 (小学館新書)

上級国民/下級国民 (小学館新書)

  • 作者:玲, 橘
  • 発売日: 2019/08/01
  • メディア: 新書

作品紹介‐あらすじ
やっぱり本当だった。

いったん「下級国民」に落ちてしまえば、「下級国民」として老い、死んでいくしかない。幸福な人生を手に入れられるのは「上級国民」だけだ──。これが現代日本社会を生きる多くのひとたちの本音だというのです。(まえがきより)

バブル崩壊後の平成の労働市場が生み落とした多くの「下級国民」たち。彼らを待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占するのは少数の「上級国民」たちだ。

「上級/下級」の分断は、日本ばかりではない。アメリカのトランプ大統領選出、イギリスのブレグジットEU離脱)、フランスの黄色ベスト(ジレジョーヌ)デモなど、欧米社会を揺るがす出来事はどれも「下級国民」による「上級国民」への抗議行動だ。

「知識社会化‐リベラル化‐グローバル化」という巨大な潮流のなかで、世界が総体としてはゆたかになり、ひとびとが全体としては幸福になるのとひきかえに、先進国のマジョリティは「上級国民/下級国民」へと分断されていく──。

ベストセラー『言ってはいけない』シリーズも話題の人気作家‐橘玲氏が、世界レベルで現実に進行する分断の正体をあぶり出す。

  • 日本のサラリーマンは世界で一番仕事が嫌いで会社を憎んでいるが、世界で一番長時間労働しており、それにもかかわらず世界で一番労働生産性が低い
  • 働き方改革団塊の世代が現役を引退したことで初めて可能になった」つまり団塊の世代既得権益に手をつけられなかった
  • 教育の本質は「上級/下級」に社会を分断する「格差拡大装置」であることを福沢諭吉は正しく理解していた
  • グローバル化によって数億人が貧困から脱出したことで、世界全体における不平等は急速に縮小している。しかし世界が「全体として」ゆたかになった代償として先進国の中間層が崩壊した
  • 「知識社会化‐リベラル化‐グローバル化の巨大な潮流のなかで、現代世界は、国や歴史‐文化‐宗教などの違いにもかかわらず、ますますよく似て」きている。「なぜなら、すべての人が同じ目標ーーよりゆたかに、より自分らしく、より自由に、より幸福にーーを共有しているから」だ。「この価値観は、今後もますます強まって私たちの生活や人生を支配することになる」
  • 知識社会の現代の中で人々は明確にその知能レベルによって分断されてしまう。そしてその知能レベルでの分断が経済的な分断も生み出すことになり、さらにそれがモテ非モテといった問題にまでつながってしまう。
  • 2つのトレンドが、高度化する知識社会に最適化した人的資本を形成する戦略。エンジニアやデータサイエンティストなどの専門職はいまやアスリートと同じ、「フェイスブックツイッター、インスタグラムなどで多くのフォロワーを集め、その評判資本をマネタイズしていく戦略」。高度化する知識社会では、テクノロジーが提供するプラットフォームを利用して、会社組織に所属することなくフリーエージェントとして自由な働き方をする、「この潮流からこぼれ落ちてしまうひとたちが生まれるのは避けられ」ない。その結果がどうなるのか
  • 最上級と最下流の人たちが政治的に似た思想をもつ
  • 団塊の世代。人口のボリュームゾーンでしかも上の人間がいない状況。団塊の世代の雇用確保が「失われた20年」だった
  • 平成が『団塊の世代の雇用(正社員の既得権)を守る』ための30年だったとするならば、令和の前半は『団塊の世代の年金を守る』ための20年になる
  • その割を食ってきたのが団塊の世代ジュニア
  • アメリカのサイバーリバタリアン、リベラル、保守、プアホワイトの分類
  • 現在、極端に進化‐成長し儲けを生んでいる分野はテクノロジーの世界しかありません。他の分野はそれほど進歩していませんが、テクノロジーはさらに飛躍する余地を残す


日本社会のしくみ 雇用‐教育‐福祉の歴史社会学

作品紹介‐あらすじ
いま、日本社会は停滞の渦中にある。その原因のひとつが「労働環境の硬直化‐悪化」だ。長時間労働のわりに生産性が低く、人材の流動性も低く、正社員と非正規労働者のあいだの賃金格差は拡大している。

 こうした背景を受け「働き方改革」が唱えられ始めるも、日本社会が歴史的に作り上げてきた「慣習(しくみ)」が私たちを呪縛する。

 新卒一括採用、定期人事異動、定年制などの特徴を持つ「社会のしくみ」=「日本型雇用」は、なぜ誕生し、いかなる経緯で他の先進国とは異なる独自のシステムとして社会に根付いたのか?

 本書では、日本の雇用、教育、社会保障、政治、アイデンティティ、ライフスタイルまで規定している「社会のしくみ」を、データと歴史を駆使して解明する。

‐大企業型26%、地元型36%、残余型38%
‐残余型には、政治的な声をあげるルートが無い。
‐中小企業団体と結びついた自民党政権が、小規模小売店を保護してきた。
‐一国のうちに、先進国(近代的大企業)と後進国前近代的な労使関係に立つ小企業および家族経営による零細企業と農業)の二重構造が存在。
‐日本では「大企業か中小企業か」つまり「どの会社か」が意識され欧米では「ホワイトカラーかブルーカラーか」つまり「どの職務か」の区分の方が強く意識されている。
‐企業が重視するのは、どんな職務に配置しても適応できる潜在能力。
‐大部屋は日本の官庁の特徴。
‐「初めに職員ありき」の社会では、まず人を雇い、その人に職務をあてがう。
‐日本の雇用形態を「メンバーシップ型」欧米を「ジョブ型」「企業のメンバーシップ」と「職種のメンバーシップ」。
‐日本と他国の最大の相違は、企業を超えた基準やルールの有無
‐日本が独特なのは、軍隊や官庁にのみ向いていると考えられている組織の型を産業にも適用したという点。
‐官庁から始まった新規学卒採用は、1900年前後から民間企業に広まった。
‐日本型雇用の構造的弱点。大卒社員を昇進させ続けるためには、無駄なポストを増やし続けるか、組織を大きくするしかない。
‐長期雇用と年功賃金を続けようとすれば、適用対象をコア部分に限定するしかない。そのための方法が、人事考課による厳選、出向、非正規雇用、女性という外部を作りだすことだった。
‐「企業のメンバーシップ」「職種のメンバーシップ」「制度化された自由労働市場」という社会的機能の内、日本は「企業のメンバーシップ」が支配的な社会。
‐日本のしくみを変えるために、最も重要なことは「透明性の向上」
‐日本では「カイシャ」と「ムラ」が基本単位。