matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

雇用者がグローバル企業になればどうなるのか

日本国内で働いていても、その雇用者は国内企業ではなくグローバル企業となる比率が高まっている。それは高収入な就労だけではなく、非正規雇用も含めてであろう。従来は国内産業であった企業もいつのまにか外資系企業に変貌している。現時点で日本で最大の外資系企業はnissanではないだろうか。nissanは、ルノーグループである。日本の企業が元気になることがわれわれ日本の利益になると言われ、アベノミクスはまさに日本企業への支援がその実体である。しかし今、日本企業の定義はいったいなんであろうか。日本国民を雇用している企業ではなく、日本に税金を納めている企業が該当するのではないだろうか。日本社会のインフラは税金など公共事業とその資金をもって整備され、その源泉は税期の借金である。医療や年金などの福祉もしかりである。日本国民に対し恩恵を与えるのは税金を納めてくれることであり、それが所得の再分配になっている。国内産業が空洞化し生産が海外移転されることが大きな懸念とされているが、海外で生産し利益を得た結果、それが日本に税金として還元してくるのであれば、それも間接的に日本に貢献していることになる。しかし、税金は海外から支払されているのだろうか。
Appleが過去最大となる170億ドルの社債を発行、結果として最大92億ドルの税金を節約しているというニュースがある。
Appleの3月末の現金残高(cash and equivalents)は約1450億ドルで、このうち3分の2にあたる約1000億ドルが米国外に置かれている。「92億ドルの節税」というのは、仮にこの海外滞留資金1000億ドルのなかから170億ドルの資金を捻出しようとすると、資金を米国内に持ち込む際に35%の法人税(Repatriation Tax)が掛かるため、必要となる金額はあわせて約260億ドルになってしまうから、海外から資金を回収するよりも、国内で借金をしたほうが節税になる=税金を納めないということらしい。
グローバル企業は、利益をグローバルに分散し、国の単位では税金を節約しているということらしい。もはや、税金という所得の再分配ということは形骸化している。

永楽帝――華夷秩序の完成 (講談社学術文庫)

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