matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

国内の雇用は誰がしていくのか

ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが、「世界統一賃金構想」を練っていると報じられ(朝日新聞4月23日付)、反響を呼んでいる。
これは海外の新興国の給与水準を上げることになり、日本国内の給与水準を引き下げることになる。ユニクロというグローバル企業の方針というよりもグローバル展開している進行中の現実かもしれない。ユニクロは昨今「ブラック企業」とも呼ばれ、「サービス残業が常態化、うつ病罹患率も高い」「新卒社員の3年内離職率は5割超」といった実態があるようでもある。この現状の中で、給与が低ければどうなるのかは、介護における人手確保難と同じになりそうでもあるが、非正規雇用者の供給が大量にあり、正規雇用の状況が厳しい現実が、低給与化と雇用の流動性を推進している。これは、アベノミクスの現実である。安倍総理は雇用状況の流動性を高め、成熟産業(衰退産業と言わないのが政治家の優れた資質だろう)から成長産業に雇用を移すと述べているようだが、成長産業が望むのは低コストか、高付加価値の労働力であり、少なくとも異業種に携わってきた人材が新たなる市場においては、持てるスキルや経験が付加価値になるだろうか疑問だ。
私は、雇用の流動性が高いIT業界に長年従事してきたが、大部分は同じ産業内での転職であり、IT業界の中でも成熟産業的な分野と成長産業の分野に二極化しているが、成熟分野の雇用が成長分野に移動は難しい。中高年における転職が特に顕著であるようだ。人件費比率が高い分野はオフシエア化し海外移転され、そしてクラウド化がSI業務のあり方を変えていくと、全体的な雇用は減少していく気配。
国内に残る雇用は、対人かつ対面が必要な業務に絞られ、これが国内産業では成長分野である。デフレで商品価格が下落していくなか販売間接費の削減は、低コストな雇用比率を高める方向に帰結していく。少数の管理者が多数の流動性の高い非正規労働者を駆使すといった図式。ユニクロの世界統一の給与水準は、この管理者にも適用されると考えると少数の管理者側にも、ハイリスク・ハイリターンの高額所得の雇われ経営者と比較的ローリスクのローリターンな管理者に2分されるだろう。
結果として、雇用者は競争に勝ち抜いたグローバル企業になり、日本企業である必然性はもはやなくなる。ユニクロの国内での競合は、ファストファッションの海外から来たH&Mなどの企業である。かつて外資系の給与水準は国内企業に比べ高額であったが、それは非正規労働面においては世界水準つまり低コストとなる。流動的な雇用市場にするということは、グローバル化であり、雇用者は日本企業ではない。

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