日本型社会の起点
12世紀から13世紀に日本の社会のあり方が大きく変わっている。
その後の日本型社会の原点となったようだ。
- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/07/06
- メディア: 文庫
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興味深い話が多いが、かなとカナの使い分けの話が思わず納得してしまった。
表意文字である漢字と、表音文字の併用と言う稀有な文字文化が日本の特徴でもある。これは、本来、外国語である中国語=漢字を母国語化するために「かな」が存在しているのだろうが、では、なぜ、「かな」と「カナ」が必要なのかということだ。
古文書として残っているのは大部分が平仮名まじりの文書だそうだ。カタカナの文書にいたっては数%というらしい。その少ない文書は、殆どがはなし言葉を書きとめた、「音」を記述したものだということだ。代表的なものがお経であり、僧侶が使用するのが「カナ」であったらしい。文章は候文というか口語体ではない。かな交じりが文書にかく文字らしい。
儒学者と僧侶がつかう。つまり、原典が中国語という外国語を使用する人たちが使用する文字なのだ。
漢文は、カナと返り点で読む。
なるほど、外来語は「カナ」で書く。
しかし、明治において、法律や官公庁文書は漢字と「カナ」で書かれている。
また明治時代の初等教育では、カナを最初に教えている。
この理由は本書では疑問を投げかけているが、答えは記述されていない。
お隣の韓国では、いつのまにか漢字が無くなり、表音文字のハングル一色となっているようだ。
いまのところ、日本では、漢字とかなとカナの混在がなくなりそうでない。