matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

海外へのオフシェア開発におけるAI案件の危うさ


中国に開発依頼したAI案件が問題視されている。

「オフショア開発」とは、ソフトウェアやシステム開発を海外企業にアウトソースする手法を指します。「海外BPO」とは自社業務の一部を海外企業に委託すること

企業がオフショア開発を導入する目的は、やはり現地の安い人件費を期待した開発コスト削減・利益拡大です。
少し前までは大手企業のみがオフショア開発を導入していましたが、最近では日本の中小企業にもオフショア開発が浸透。

日本ではオフショア開発先としてもっとも実績があるのが中国で、2位がベトナム、3位インド、4位フィリピンと続いています。ただし、最近では中国の人件費増加に伴い、ベトナムが大きくシェアを広げている状況です。

すでに海外に委託するのは「モノ」の製造だけではなく、ソフトウェア開発も一般的になっている。

委託する場合は、テストデータを用い実データを使用しないなど一定の対策をとれる。機能別に委託先を分散し技術漏洩を最小化させることもあるだろう。現地子会社化により、国内から管理を徹底してきたはずだ。

なにが問題なのか

AIは、ビッグデータ分析により、実用となるので実データから乖離することができない。したがって、開発委託先エンジニアには、従来技術であるIT開発と異なり、よりリアルなデータ提供が必要となる。

今回は、対象が個人情報や決済データであることが問題。本来開示すべきではないが、開示しないと適切なAI開発ができないという矛盾を包含する。

結果として、LINEは中国の委託企業の技術者に国内のサーバーにアクセスする権限を与え、利用者の個人情報を閲覧できる状態にしていた。

権限は、開発業務においてリリース時の検証または不具合発生時の原因追跡のために、適切に付与されたものとしている。


一体何が?情報流出は『LINE』個人情報が閲覧可能に
一体何が?情報流出は『LINE』個人情報が閲覧可能に(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース

日本の情報にアクセスしていたのは、AI(人工知能)サービス機能の開発をしているLINEの子会社と、不適切な投稿の監視業務を委託されている中国の会社です。

LINEによりますと、AI開発を行っている子会社の技術者4人が、2018年8月から32回にわたって、利用者の名前、電話番号、メールアドレスなどの個人情報が入っているサーバーにアクセスしていたということです。不適切な投稿の監視している業務委託の会社は、一日で約9万件の書き込みなどを監視していました。

開発だけではなく、監視という業務も委託している。いわば海外BPOだ。
これは、AIだけでは、監視がしきれないため人で行う必要があったということで、人件費からいっても一般的。

私はかつて外資のグローバル企業の日本法人で勤務していたが、経理業務を始め大部分がSaaSや海外にあるERPなどで業務処理をしていたが、事務処理は日本法人でもアメリカ本社社員でもなく中国やインドにておこなわれていた。

しかしながら、オンプレミスはすべてアメリカ本社にて稼働。もっともオペレータはインドから遠隔操作されていたが。

しかしながら、経営方針はもちろん、システムの設計は本社IT部門や製品企画や開発部が行い、監査もされていた。
あくまでも、オペレーションコスト削減であり、オフシェア開発も、リリース後の保守がインドに移管されていた。

LINE問題 中国への技術依存、転機へ 安保の課題浮き彫り
www.sankeibiz.jp

 LINE(ライン)の個人情報管理をめぐる問題は、国境を超えてデータビジネスを営む上で直面する経済安全保障の課題を浮き彫りにした。人工知能(AI)など先端技術で先を行く中国に依存してきた多くの日本企業は、事業戦略の転換を迫られる可能性がある。

先端技術で先を行く中国に依存が、おおきな危惧。コスト削減ではなく、コアコンピタンスたるべき技術への海外依存。


LINEの狙いは。監視業務の効率化だけではないだろう。

ledge.ai

LINE Searchは「人」と「ロケーション」の2点の検索精度強化に注力しています。

「人」軸
インフルエンサー検索」をリリースし、知りたい事柄に詳しい人をTwitterInstagramで探すことを可能にしました。さまざまな分野の専門家を検索し、見つけて相談できる「LINE Ask ME」も2020年に提供予定です。
「ロケーション」軸
すでにリリースされているグルメレビューアプリ「LINE CONOMI」などのサービス展開を進める予定です。
LINEは今後、LINEの持つAI技術とLINE Searchをかけ合わせ、あらゆる情報をLINE上で検索できるようにするとしています。

この「LINEの持つAI技術」は、外部依存でないことを願う
LINE、韓国IT大手企業子会社だった。ソフトバンクに統合され真に国内化されたらよいのだが、グローバル化には、グローバルな技術利用が必要ともされる。

そもそもグローバルなサービスなので、特定の国別に運用しないのは、当然かもしれない。

しかし、個人情報保護は、特定の国家の国民西化されるべきではなく、すべての人に与えられるべき人権。しかしながら、中国では個人情報を国家機関にて提供されることをいわば合法化している。

現状、国によって法制度なりが異なるなか、グローバルなサービスがどう提供されていくかは、利用者側も認識が必要だ。

LINE、中国の委託先が個人情報を閲覧できる状態に--詳しい経緯と対策を説明
japan.cnet.com

 LINEは、日本、韓国、インドネシアベトナム、中国、タイ、台湾の7カ国にて、LINEグループ内で統一のルール、ガバナンスのもとサービスの開発・運営を行っている。各国の拠点やサービス提供者と一体で対応するため、海外での開発やモニタリングといった処理が発生するほか、国外のグループ会社の拠点や委託先において、一部の機能や内部ツールの開発、タイムラインとオープンチャットのモニタリングを委託している

今や、知らず知らずに日本という枠が個人レベルでは、こえているのを行政も、我々個人も認識し対応が必要ともされる。