気象レーダーについて思うこと
幸いにも、台風12号は初期の予測より東寄りに進み、我が地方は影響受けなくて済みそうだ。ただ秋雨前線が今後どこまで活発化は気になる。
最近、スマホのお天気アプリで雨雲レーダーをよく利用する。それを見て犬の散歩時間を調整する。エリアが大まかな天気予報より、今後2時間程度の雨雲予想が頼りになっている。
近年の気象観測技術の多様化/進化とスパコンの飛躍的な性能向上は、予報の精度と伝達情報多角化に大きく貢献しているのだろう。
感慨深いものがあるのは、自分自身が30数年前に、気象レーダーのデジタル化開発に携わったからでもある。
当時、気象庁には国産3企業が、気象レーダーを納入しており、デジタル化していなかった企業にソフト開発リーダとして派遣されていた。まだ20代中頃だったが、レーダーの開発製造企業には、ソフトエンジニアがおらず、外部からの参加となり、結果として基本設計から開発まで一手に担当した。
わたしは、コンピュータの専門学校出で理系大卒でもない。高校時代、数Ⅲまで履修した理系志望ではあったが、受験に失敗したおちこぼれである。
こんな私に、バリバリの高学歴ハードエンジニアと一緒に、その会社が初めて手掛けるデジタル化に参加する羽目となった。
気象レーダーとは?
下記気象庁のサイトによれば
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/radar/kaisetsu.html
気象レーダーは、アンテナを回転させながら電波(マイクロ波)を発射し、半径数百kmの広範囲内に存在する雨や雪を観測するものです。発射した電波が戻ってくるまでの時間から雨や雪までの距離を測り、戻ってきた電波(レーダーエコー)の強さから雨や雪の強さを観測します。また、戻ってきた電波の周波数のずれ(ドップラー効果)を利用して、雨や雪の動きすなわち降水域の風を観測することができます。
当時は、富士山の山頂にまだ気象レーダーが設置・稼働していた。
気象庁本庁の屋上にも」設置されており、未だデジタル化以前のレーダーだった。
庁舎内で、実際のレーダー画像を拝見したが、まさに円盤上の画面で針がまわり、影だけが見えるだけ。中心は、レーダーの設置位置だが、はっきりいって、どこに雨雲があるのかさっぱりわからない。
イメージ的には、こんな感じ
距離と方角が視覚的になるが、地図が無いと判別不能。
さらに厄介なのは、レーダーは、旋回しながら、電波を出し、そのエコーを強度で濃淡をしめしているだけ。
しかも、一定の仰角をもって旋回しているので、表示されている影は、距離によって高度が異なる、遠方ほど高高度になるわけである。
そのために、仰角を変えながら数回にわけて観測するわけだが、見る側は、その複数画像から、ある一定高度の影、つまり雨雲分布を判断していた。
まさに職人芸であり、画像として外部公開もできず、ただ観測者は雨雲の発生状況と移動状況を天気図と照らし合わせて確認しているのみ。
しかし、その画像をデジタル化することにより
- 複数仰角画像のデータを合成することによって、平面画像に変換
- 地図データとの合成
- 複数に配置されたレーダー画像を連結し広範囲の分布が把握できる
- 数値化によりノイズ除去が可能に
あれから、30年、いまやテレビでおなじみ雨雲が見えるようになった。
衛星画像では出来ない数値的解像度により、予測に有用な観測手段である。
現在の画像
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/radar/kaisetsu.html#mikata
現在のレーダー配置
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/radar/kaisetsu.html#haichi