日本人は単一民族国家なのか
日本は島国であり、単一民族国家であるが故に移民をうけいれてこなかった。確かに戦後日本はそうであったし、少子高齢化の人工減少に転じた現在、大きな争点になっている。
戦前帝国主義となった日本は、軍事力を背景として朝鮮そして台湾など中国の一部を併合化し日本語教育など他民族の取り込みを図ったとも言える。移民という形態をインバウンドのみならずアウトバウンドで行ったようにも思える。それは歴史的な負の遺産として残された。文化や人種を超えた多様性を受け入れることを避けてきた戦後、人口減少社会となった今、移民という現実に直面せざるを得ない状況なのだろう。
日本は過去大きな移民により大きく変化したと思われる時代がある。日本の先住民は縄文人であろう。それは1万年近い長い時間であったが、紀元前5世紀はじめ頃から水稲耕作を基礎とする農耕文化が成立し、弥生時代に突入、紀元3世紀頃まで続いた800年間、大陸からの移民が相次いでいたのが、最近の人骨DNA解析から伺えるようだ。どうも弥生人は、現代人より大陸の民族のDNAに近く、縄文人とは明らかに異なる。稲作農耕はより大きな集団化しクニへとなる。先住民の縄文人もだが複数の民族の混合から、独自の日本人となったが、それは多くの移民の結果でもある。縄文の石器文化から、一挙に鉄器文化になるのは朝鮮半島経由からの供給があったからであり、その交易権益を掌握した集団がヘゲモニーを得ていたからこそ大和朝廷は、朝鮮の三韓に介入し続けたのだろう。加羅、百済そして高句麗の滅亡時にはより大きな移民があり、大和朝廷はそれを受け入れることにより、より社会として発展した。移民は、より先端の技術や文化をもたらしてきたと思える。
低賃金や単純労働の供給源としてのみの移民政策は不毛におもえる。たとえ1世たちはそうであっても、2世以降が日本人として享受できる教育機会などを同等に得ることができることが、新たな日本人の担い手になる。