客観的であることは難しい
朝の番組を見ていたら、子供の貧困や育英会の奨学金返済に苦しむ現状が特集されていた。それを見ていたコメンテータが、育英会の行政法人たる日本学生支援機構を批判し合理化や人件費の削減でなんとかしろとやや感情的に意見?を述べていた。行政法人の存在や天下り役人の存在などで同感ではあるが、それが根本的な解決策とは到底思えない。
育英会の運営している機構のホームページには以下の記述がある。
本機構の奨学金は、その貸与終了後返還するものであり、また、先輩からの返還金を直ちに後輩の奨学金として貸与する仕組みとなっており、返還が円滑に行われないと、次の貸与に重大な支障を来すこととなります。
一人ひとりが奨学生としての責任を果たすことによりはじめて成り立つこの制度の仕組みを理解していただき、約束どおり必ず返還してください。
育英会の奨学金というのは、実体は学生向けのローンに過ぎないのだ。
融資条件や返済条件が学生向けに優遇・緩和されているに過ぎない。学生であればほぼ全員に融資され、返済も卒業まで猶予されることにより学業に専念できるのは一般のローンに比べ価値ある制度ではないだろうか。
問題の本質は、超低金利であること、そして若年層の就職難である。かつて高成長時代はインフレであり、返済期間が後回しにできたことは返済時の負担を大きく下げていた。また高度成長時代には売り手市場であり、賃金は上昇していた。
大変厳しい時代だが、今となっては、今までのように安易に奨学金というローンを利用するかどうかを事前に十分に検討すべきではないだろうか。たとえば、住宅ローンと同じく返済計画無くしての利用はありえないだろう。教育もリスクを伴う投資になっているのが現状である。
しかしながら、自己責任ということだけで行政側あるいは企業も含む公共体はこのリスクを下げる努力をさらにすべきだし、また教育というのは個人に対する投資だが社会に対する投資でもある。投資無くしてリターンはない。
まずは、国公立などの学生が負担する教育費を大幅に低減するべきである。そのためには国からの補助や支援の財源が必要になるが、まずは文科系の学生に対する教育のありかたや、費用構造の見直しが必要ではないかと感じる。かつて文科系の学費はもっと廉価であったはずだ。研究に設備や材料費など高コストな理系にくらべ文系にはコストを下げても教育ができる環境ができないだろうか。昨今の少子化で小中学校などの統廃合が僻地だけでなく都心部でも顕著であろうが、その校舎や敷地は資産としてどう再利用されているのだろうか。取り壊すコストが捻出できずそのまま放置されていないだろうか。オーバードクターは活用できないのだろか。文系の教育ならば、机と黒板さえあれば実施できるはずで、インターネットがこれだけ低コストな通信手段を実現できているのだから、現状より低コストな高等教育なり職業訓練ができないだろうか。
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