matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

ピケティ

Eテレの「パリ白熱教室」を見ている。今話題の「21世紀の資本」のピケティの講義である。実は「たかじんのそこまで言って委員会」で取り上げた番組を見ていて、原書(邦訳)も出席者のほとんどが読んでおらず、唯一読破した元新聞記者だけが擁護で、他の方はほとんどが懐疑的、華僑?のかたが、「資本を持つものがますます金持ちになるなんて、今更言われなくても分かっている」というのが代表的?な印象を受けていた。
大型書店に平積みになっているが、あまりにも分厚いので老眼になっている自分にはどうも手が伸ばせなかったが、この「パリ白熱教室」はありがたい。
ヨーロッパ、アメリカそして日本と傾向は違えでも、格差が広がっているというのが、明確に説明されている。単なる仮説からの主張や理論ではなく、各国の納税記録の分析から裏付けされている分析結果であるというのが最大の特徴かもしれない。格差という実体が漠然とした現状と過去がグラフとなって目前に突き付けられる。
各国の税務統計など、20以上の国の所得と資産のデータを300年の超長期にわたり遡って分析は、富める者はますます富み、そうでない者との格差が広がっていく……資本主義の暗鬱な未来を予言。格差の拡大は資本主義に根源的に内在するメカニズム、というピケティの指摘は、これまでの経済学の常識を覆すものだが、彼は膨大なデータから実証してみせた。

  • 「資本主義が発展すると、平等になっていく」通説は誤り!?
  • 『r>g』資本収益率は経済成長率を常に上回る
  • 所得と富の不平等は今後もさらに拡大していく
  • 格差拡大を防ぐにはグローバルな累進課税しかない

20世紀後半だけが格差なきよき時代だった。
日本の高度経済成長、池田内閣の所得倍増計画から、バブル崩壊以後の低成長のデフレ経済は、本来の資本経済に揺り戻しているにすぎない。過去の成長経済に戻すことが政治に求められ、それこそが唯一の日本の未来を約束するといった風潮があるが、実はそれは格差を拡大に拍車をかけることになるのではないか。いま政治に必要なのは、再分配の仕組みを見直して、国民全体の幸福の最大公約数を実現することではないだろうか。
ピケテイの論調はヨーロッパとアメリカとの比較分析が主体で日本の特異性についてはそれほど言及していないようでもある。
日本の中階層が分厚く、労働所得格差は欧米に比べて低いのは、焼け野原になった敗戦とGHQが行った農地改革や財閥解体および累進課税制度だ。資本格差は革命による既得権をもった階層の没落により行われるはずだったが、第2次世界大戦に戦場となり、政府組織が崩壊した国が歴史的な富の再分配を実現したようだ。しかしながら、中東における政権崩壊と戦争は、それを実現しているようには見えない。革命は支配階級が後退するのみで、新たな資産階層がいれかわるだけかもしれない。
2015年01月18日

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