飽食の時代
過去の日本は飢餓との戦いだった。天候の不順や天災で例年より収穫が少ない場合、それを改善するには1年を待たざるを得ず、餓死するのは、寒い冬ではなく、貯蔵された食料が尽きる夏以降だったようだ。食料の問題は、保存手段の有無に尽きる。生存していくためには、食べ続けなければならないが、食料の入手は毎日できるものではない。人類は冷蔵技術が普及したことこそが、食糧の確保の実現だった。
- 作者: 宮崎正勝
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
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過去、文明は、食糧の生産のためには水資源の確保から始まったかもしれない。雨は雨季には豊富にあるが、1年を通じて安定した水を入手できない地域がほとんどだ。水を貯めることは、食料を別の媒体で保存していることになっていたかも。
考えてみると、電気も過去の食糧の入手に似ているかも知れない。電気を保存することができなくて、風力や太陽発電などの自然エネルギーから得る発電は、その供給量が変動することが最大の課題である。それにくらべ、化石燃料は、必要な時のみ消費することが可能であり貯蔵し、運搬できる。食品における冷蔵庫の役割までが現在の蓄電池にはまだ達していない。いま、脱カーボン、エコを実現するキーポイントは、電気の保存方法の革新だが。その実像は見えていない。