matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

鉄は国家なり


古代、鉄を制するものが政権をとり国家を形成していた。

金属と日本人の歴史 (講談社学術文庫)

金属と日本人の歴史 (講談社学術文庫)

中国では、塩と鉄は専売制とし、重要な経済基盤を形成していたようだ。飛鳥朝廷でも、朝鮮半島からの鉄のルートを掌握していたことが日本の中央政権としての基盤をなしていた時期もあったようだ。鉄は、兵器と農具を形成する重要な材料でもある。しかし百済滅亡など技術を持った帰化人が、国内での自給を可能としたときから、日本でも国家という形が確立されたといえるかもしれない。

古代、中国の平原地域などは森がうっそうと茂る気候だったようだ。それが、荒涼たる黄土の風景になっている。朝鮮でも木材が貴重であり、木材は中国では貴重なようだ。
鉄、塩、陶磁器という生産活動は、どれも大量な薪を必要とする。
さきの書でも、鋼1トンをえるためには、砂鉄12トン、木炭14トンが必要であったそうだ。木炭を作成するにはその4倍以上の量の木材が必要であったはずだ。

ジブリのアニメ映画の「もののけ姫」でその状況が描写されている。タタラのまわりの森が無くなっていく姿だ。

火が、鉄、塩そして陶器を作り出す。
火は二酸化炭素を生成し地球温暖化の原因だが、木材などを燃焼している限りは、光合成をおこなう植物型燃料を受かっている限り総量は維持される。しかし、成長速度を超えたとき砂漠化する。森が消えていくのだ。中国では森は燃えつくし、早くから石炭を使い陶磁器を焼き、その火力によりあの磁器できたのではないか。

化石燃料を使用すれば、森はもやさなくともよいが、二酸化炭素としては増加する一方である。

鉄が文明を進歩させ、人類の発展と60億を超える人口を形成してきた基盤のひとつであることは間違いない。
化石燃料でもなく、核燃料でもないエネルギーが確保できるだろうか。