matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

企業の存続

最近、20年ほど前のネガをスキャンしている。娘が結婚するためデータとして渡そうと思ったのが発端だった。
手元にある複合プリンタにはネガのスキャン機能があるのだが、OSのサポートがWindows7までしかない。この際、買い替えようと思ったがなんと最近の複合プリンタにはネガのスキャン機能が無くなっていた。もはやネガフィルム自体の需要がないという企業判断であろう。ただsキャナー専用機ではまだネガフィルムのスキャンが可能だったので慌てて購入。コンシューマ向けのネガのスキャンできる機器は入手不可となりかねない状況のようだ。
エプソンのスキャン機を購入し昔のネガを引っ張り出してスキャンし始めたが、いやはや手間のかかること。写真枚数で数千枚になりそうだ。また懐かしい写真なのでつい見いってしまい時間を浪費していることもあるが、残念なのは、変色しているネガが少なくないことである。撮影時、現像直後に印画紙に焼き付けた写真は変色していないところを見るとやはりフィルムより紙のほうが保存性が高い。しかしながら、ある傾向があることに気付いた。変色しているのが1995年ごろ以降のコダックフィルムが圧倒的に多いことである。富士やコニカも変色しているかどうかわからないレベルだが、コダックは明らかに黄色に変色している。RGBでいえば青が劣化している印象。スキャン機器の入手も含め、ネガを持っている方は急いだほうがよさそうだ。
私の30数年前の高校時代は写真部で白黒現像していたのでコダックのカラー写真にはブランドイメージがあったので、変色がコダックネガに集中していることを意外と感じた。インターネットで検索してみると、リバーサルフィルムでは顕著な変色は内容でネガだけの現象のようでもあり、さらに30年前以前では逆に国産ネガの変色をしてきしているようなものもあった。わたしの場合は1995年ごろからの現象である。
ここからは、わたし個人の勝手な思い込みであるが、背景にコダックの会社としての苦境があるのではと推測している。1990年代後半から使用しているコダックフィルムが急に増えたのは、値段の下落である。かつてコダックの写真機材は高価だったが円高と国産フィルムメーカとの競合から値下がりをした結果、使用する割合が増えたと思う。写真分野ではコダックの独占はなくなり、富士フィルムなどとの競争を迫られた結果、利益率が悪化したためコスト削減の結果ではないかと。変色するのはフィルム材質の品質か、あるいは現像時の処理に起因するので
そのどちらかまたは両方の可能性があるが、私は現像処理ではないかと思える。
デジタル化されたいま、かつての巨人コダックはなく、コニカは写真から撤退し富士フィルム多角化することによって企業としての成長を続けている。この違いはなんだろか。事業としてよりも企業としての存続を図るのが日本企業であり、事業としての継続を重視するのが株主支配のアメリカ企業であると思える。短期的な収益向上=株価維持を最大のゴールとするならば、収益に直結しないR&Dや新規事業などの多角化ではなく既存事業の効率化・高収益化を求めることになる。つまりコスト削減が主体となる。その結果、集中と選択を行い事業を限定していくオペレーションとなる。しかしながらその事業分野が市場として存続するとは限らない。デジタル化は旧来の写真事業を根絶しそうな状況。コダックは世界ではじめてデジタルカメラを製品化できたが既存の市場を守るためにデジタル化には対応しなかった。旧来の写真技術は化学技術であり、デジタルカメラは電子技術なためコダックの持つコアコンピタンスが通用しない。富士フィルムはその化学技術を化粧品や医薬品または素材事業に多角化し、写真というイメージ処理のデジタル技術をIT分野へのコアともしている。企業の存続ではなく、事業の継続、創造がベンチャーやスタートアップ企業によりアメリカ経済の根本なのかもしれない。
今日本企業でも、企業の存続をはかるために、集中と選択を行いリストラを余儀なくされているが、集中と選択は結果として企業としてではなく事業の選択にすぎないのだが。
2015年08月05日

幕末史 (ちくま新書)

幕末史 (ちくま新書)

2015年08月09日
武器の世界地図 (文春新書)

武器の世界地図 (文春新書)

2015年08月21日2015年08月29日