matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

防災に経験が生かせるか

最近、書店には災害関連の書籍が平積みになっている。そのなかの大部分は3.11以前に刊行されたもので、この3.11以降に増刷しているものだ。

津波災害――減災社会を築く (岩波新書)

津波災害――減災社会を築く (岩波新書)

この本に書かれていることは、まさに今回の津波被害をよそくしているものだった。この著者はチリ沖地震津波に際し、避難がされなかった事実を警鐘の意味で書かれたようだが、残念ながらその危惧は現実のものになってしまったようだ。今回、弱者と呼ばれる子供と高齢者を比較した場合、圧倒的に高齢者の死亡率が高いのは、その典型ではないだろうか。人生経験を積み重ね、いくたの地震などを経験してきたはずの高齢者が被災しているのは、津波という災害の残酷さでもある。今回の津波規模は貞観並とすれば、1000年ぶりであり、人の人生のなかでは体験もできず、世代で語り継ぐことも困難である。自分が感じる地震の揺れの大きさと津波規模が必ずしも一致しないことは、津波に対する対応が難しい面でもある。チリで起きた地震を日本で感じることは無い。津波に対しては、「避難」しかないことをこの本は明確に書いてくれている。
「震度7」を生き抜く―被災地医師が得た教訓 (祥伝社新書 (003))

「震度7」を生き抜く―被災地医師が得た教訓 (祥伝社新書 (003))

反面、地震に対しては、日本ではある意味日常茶飯事的な頻度で発生し、台風などの自然災害のように身近であり、体験者が存在する。その体験を学ぶことができる。
内部被曝の脅威 ちくま新書(541)

内部被曝の脅威 ちくま新書(541)

不幸なことに日本は、被爆という原子力に関わる被災者と体験を持つ国である。その被爆者たちも高齢化しその体験を語ることができる人が確実に減少していく。
いかしながら、さらに不幸なことに、ヒロシマナガサキの風化が進む中、新たにその経験を迫られることになるかもしれない。
小栗上野介?忘れられた悲劇の幕臣 (平凡社新書)

小栗上野介?忘れられた悲劇の幕臣 (平凡社新書)