リーダになにができるのか
菅総理に対する風当たりは相当厳しい。現地訪問をすれば、避難住民から罵声を浴びる。政府の対応に不漫が多いのは、期待の裏返しでもあるわけで今回の震災や原発に関しては閉塞感が大きく、行き場のない怒りが政府であり、そのトップに向けられているのだろう。しかしながら、実際に対応している自衛隊やハイパーレスキューや地元自治体職員に対してはその尽力と苦労に対し、感謝の声も大きい。あまりにも大きな災害に対し、その対応が別の総理なり、べつの政党に代わって改善するという確信もだれも持っていないのでないかとも思える。代案があるのであれば、また我こそが担当すれば、具体策を持って現状を改善できるという論議をできるひとがいないため、現状の担当者の人間性や資質への攻撃となっている。果たしてこれは、意味のあることなんだろうか。とにかくトップを変えろと言っている政治家たちは、しっかりやれとだけ声高に主張している人がトップになってもなにも変わりはしないだろう。いま政治に求められているのは、縦割りや組織間の調整を図ることだ。ここの既存の枠組みのなかでは各現場の実務者が必死に真摯に対応している。具体的な行動は、担当レベルでしかできない。しかしながら、現場での限界は、自分たちの組織であり権限の限界である。平時体制の枠組みではどうしても対応できないことが数多くあり、それが障害となるはずだ。省間、あるいは自治体での縦割り行政や民と官の境界や狭間などを超えさせることができるのが政治ではないだろうか。官のやることを代替するのではなく、既存の官の枠組みでできないことを行うのが政治主導ではないだろうか。政治家には、そのためのビジョンと企画、調整力、そして想像力が求められている。
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