matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

経済活動とは石油を買うための活動


最近の新書ブームは書き手の層が広がっていることで、リタイアまたは、第一戦を退かれた方など、まさに現場にいたビジネスマンの方が書かれたものが増えたように思える。

アラブの大富豪 (新潮新書)

アラブの大富豪 (新潮新書)

上記の本も、実際にアラブの地域でまさにおられた上で記述されているので非常にリアリテイを感じてしまう。
アカデミズムやジャーナリズムという面は、それなりの意見や見方を元にやや主観的な面や恣意的な面があることが多いように感じる。そのほうが情報の受け手にとって理解しやすく、受けやすいからだ。
特定の部分に集中したり、一面的な事実の羅列により印象を限定させかねない、いや結論ありきで論議が展開されていく。

アラブの大富豪というと、我々一般大衆はどうしてもやっかみと興味半分な関心しかもてないが、昨今の原油高など、富が石油の供給側に一方的に流入している状況は加速している。
本書は、そのアラブ諸国の現状をそのまま感じさせてくれるものだ。

アラブにおいて石油は当分枯渇しそうもなく、王制も変わる要素がないという。アラブで王制が成立している地域は国民にもその恩恵は受けられることによって、体制の変化を望まないようだ。
しかしながら、海外からの移民と出稼ぎによる外国人労働者の増加は社会の流動性を高め、アラブ諸国にその二世や三世たちが定着したとき、どうなるのだろうか。アラブ地域に先住民としての特権層に対する不満が蓄積されないだろうか。

超巨大旅客機エアバス380 (平凡社新書)

超巨大旅客機エアバス380 (平凡社新書)

現在、ボーイングエアバスの2強時代ともいえるが、中型機のトレンドを訴求するボーイングと、ますます大型化を推進しているエアバスとの路線の違いがでているようだが、そもそも大型化の先鞭をきったのはジャンボシエットの開発元であるボーイングだったはずなんですが。

私自身もあまり海外渡航するようなことは少ないのですが、さすがにアメリカ行きなど長時間でのエコノミーとビジネスクラスの違いが大きいことは実感できるし、より大型機のほうが心理的圧迫感も少ないのも理解できる。エコノミーで、より広い座席空間などが確保できて料金もかわらないのなら、大型化は大歓迎だ。
しかしながら、かならずしも大型化がそれを実現できるとは限らないような状況が昨今の航空業界のようだ。以前にくらべ燃料費の比率が高まり、いかに乗客あたりのコストを下げるかは、1便あたりの乗客率を高めることが重要になってくるということらしい。結局は客単価をいかにあげるかのような。
一見、大型化は、一人あたりのコストを下げる有効な手段のような感じもするが、実際は、1席あたりの売上をディスカウント(団体)して全体としての売上を大きくしているに過ぎない。燃料費などが今より安価であった時、すなわちコスト比率が低く、粗利が多い形態ではいかに全体売上を向上させるかが、最終利益を向上させる決め手となる。
しかしながら、燃料費や人件費など粗利が少なくなったとき、いかに客単価をあげていくか。値引き幅を減少させるかである。
具体的にいえば、コストよりは利便性を重視する層をターゲットにする。そのためには、本数を多くすることや、乗り換えの回数を減らすこと、つまり、路線数の多様化と便数の増加なのだ。それは、便あたりの規模を小さく効率化していくことであり、大型化には適さないというわけだ。燃料さえ安くなれば、大型化して席あたりの占有面積を広げてという差別化戦略もあるのだろうが。