matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

1万円札


私がはじめて購入した文庫本は、旺文社文庫の「福翁自伝」だった。
中学生1年で、たしか、旺文社文庫の第1弾発行本だったと思う。いまや旺文社文庫もなくなっているが、当時より文庫本を出している出版社はあまり増えていないようだ。いまは、新書が盛んなようだ。
明治時代に書かれているとは思えないほど平易で軽妙な文章だったイメージがある。

最初、この本を読んでみて、福沢諭吉という意外な面を見た想いがしていたが、読み終えてみると、なぜ中学生の自分が、福沢諭吉に親近感を持ったかが、なんとなく納得できたような。
福沢諭吉というのは、教育者ではなく、むしろビジネスマンであったかもしれない。士農工商の考え方であれば、金儲けというのは、なんとなくイメージが悪いが、現代ではビジネスといえば、またイメージが変わるだろう。
福沢は、海外のトレンドをいち早く日本に紹介する才に長けていた。ただ単なる翻訳家ではなく、日本に紹介し、日本に取り入れる職人であり、それは漢文など著述力など日本語や日本文化のみならず実社会をよく理解していたからこそ可能であったのだろう。
会計学の基礎となる複式簿記を日本に紹介した人物でもある。借方貸方という語は福沢の訳によるものらしい。
松下村塾は、革命家を育て、慶応義塾は起業家を育てたかもしれない。
福沢は、教育者というよりも、ジャーナリストであり、マーケッターであったかもしれない。