matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

見える化


可視化は、なにをどう見せるかにより、企業の「現場力」を高めるものだそうだ。

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み

「数字で話せ」自分の所属する部門のかつての長は、それが口癖だった。
コスト、売り上げなど、金額に換算しなければ納得しない。
長年にわたり成長を続け続けたライン部門から、営業支援部門に来た彼は、行動や価値観を売り上げに求め続けてきた成功体験を徹底しようとした。

彼の進める方針に、異を唱える、または疑問を投げかけるものを、正論で論破し彼に意見を言うものは皆無となっていく。組織長が確固たる信念と理論を持ち、その結果、部下との議論はなくなった。
彼は、正しかった。あまりも正しくて、その部門内での議論はなくなり、かつて自分のいた部門から引き連れてきた子飼いを周辺を固めていく。

売り上げやコスト/工数を元にアクテイビテイの優先順位をつけ、結果としての売り上げをマキシマイズさせる。それは合理的なやり方であり、まさに、「見える化」の推進だった。
案件管理システムを構築し、営業支援部門で案件管理をし、商談の規模・状況を把握し、工数管理システムを充実し、支援業務の時間と案件を入力させる。結果として、マネージメントは、案件の金額と工数のリアルな把握が可能になり有効なマネージメントを可能とした。

それが結果としてどうなったか。営業支援部門は、勝てる案件や金額の大きな案件のみを集中的に支援するという、至極全うな活動となった。
しかし、それはいかに「勝ち馬」にのるかという結果となる。勝率の高い、そして金額の大きな案件のみを支援すれば、結果として、支援部門の効率は、数字としてよくなる。勝てる試合しかしなければ、勝率は上がる。金額の高い案件だけすれば、工数あたりの金額がたかくなり、結果評価の数値としては、誇るべきものになるはずだった。

しかし、それは、勝てる相手が少なくなり、試合もすくなくなったらどうなるだろうか。
プレーヤーたる営業側からすれば、収穫時期の案件もあれば、種まきの案件もある。短期もあれば長期もある。最初は小額でも、リピータブルに成長していく顧客もあるだろう。
悪く取れば、苦労多くして実り少ないときは支援がもらえず、収穫時期になると声高に支援をおこないその功績を主張する。

その結果、支援すべき営業部門から退陣を余儀なくされた。
発端は、彼をその組織の長にした、敏腕の営業出身の社長が退陣したことだ。

見える化」は必ず必要である。
しかしながら、えてして見えやすいものだけを見てしまう。
「数字ではなせ」ということは、数値化できないものは話さなくなる。つまり「見なくなる」
売り上げやコストというのは、数値化が容易な指標である。極論すれば、それを語ることは簡単であり、
その情報を無視してビジネスはなりたたない。しかし、それは結果を示すものに過ぎず、いかにそれを改善するからの情報はない。
しかし、「見えない」価値をどう「見える」ようにするのかをしなければ、結果としての売り上げやコスト削減は改善しない。