matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

幕末は、乱世だ。

太平の世の後に、黒船が乱世を呼び起こす。では、黒船がこなかったら、どうだったのだろうか。元和以降戦争がなくなり、勘定奉行が要職となり、軍人だったはずの武士が官僚となった。能力ではなく家の格が重視される。その格を得た功績は、幕府開闢時期のものだ。そうなると、「家」を守ることが最重要となり、既存権益にしがみつく社会。それは、人間関係が非常に大きな比重となっていたようだ。江戸時代の武士階級の経済的な負担は、交際費が大きい。いじめ、嫉妬やねたみなど、武士道などとはほど遠い世界だったようだ。
その閉塞感のある階層と違い、商人や庄屋などの経済力をもった活気をもつ社会の発展があり、それらが、黒船による既成秩序、価値観の変化が、社会の矛盾や変革のきっかけを呼びおこしたということは、黒船は触媒であり、本来の要素は潜在的なものだったのだろう。

「大江戸曲者列伝」太平の巻、幕末の巻を読んでみると、そのことを感じた。

大江戸曲者列伝―幕末の巻 (新潮新書)

大江戸曲者列伝―幕末の巻 (新潮新書)

終戦というのは日本にとって大きな変化点だったことはまちがいない。
これは、戦国時代の終わりとすれば、幕末の始まりに相当する黒船の到来は、バブル崩壊だったかも。
終戦、焼け野原のなかから日本経済は奇跡的とも思える復活と、戦前を遥かに越える経済国を作り上げた。トヨタ、松下、ソニーなど多くの企業が世界的な企業へと成長した。
そこでの大きな成功体験が、企業文化となったのだろう。しかし、バブル崩壊グローバル化は、ルールと価値観を変えた。既存権益や過去の成功体験が、価値を無くしていく。

実感としては、まだ、今の日本で幕末は終わっていない。薩摩や長州はだれなのか。幕末には、幕府にかわる天皇という絶対的な基準があったが、今の日本にとっては、「かね」のみなのか。