matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

西太后

西太后―大清帝国最後の光芒 (中公新書)

西太后―大清帝国最後の光芒 (中公新書)

清末の歴史観を改めさせるのが読後感である。西太后のイメージは、女帝=悪というステレオタイプの味方をしてしまうのは、女性蔑視の思いが、知らず知らずのなかにあるのだろうか。男がすべき政治を女がすると、偏った政治になるとおもうこと自体がである。別に男でも、悪政もあれば善政もあるだろう。

清というのは、ある意味、中国歴代帝政の完成形かも知れない。その版図は史上最大で、現中国の国境の基本ベースができている。歴代の皇帝は、他の王朝に比べれば非常に働き者であり、比較的、有能な皇帝が多い。その背景は、宦官の政治からの排除と、外戚の廃止を制度として防止策があったこと。さらに「太子密建」後継者の名前を書いた紙を、扁額のなかにおいて置く。つまり前任者が後任を指名しておくシステムであるが、指名する本人以外は、決して明かされない。そのことによって、長子存続ではなく、真に有能な後継者を選ぼうという趣旨であろう。小泉総理の後継者は、小泉氏の指名により決まるのかもしれないが、派閥をもたない(と本人は行っている)以上、誰が指名されるかわからないまま、各自で競わせるという手法に通ずるものがある。

中国は、清の最盛期は推定GDPが世界の1/3だったそうだ。これは現代のアメリカなみである。今、中国の経済発展は、ゴールはまさにそこにあるのかもしれない。過去の中国は、安定と発展による人口増加により、一人あたりの耕地面積に限界が生ずると王朝交代による自然減または、版図の拡大を図ってきた。現代におけるのは、ひとりあたりの資源の限界が生じるまで、中国の発展は進みつづけるのかもしれない。

中国は、自国自体で巨大な市場(需要)を持つので、経済的に慢性的に拡大が可能だ。その需要は資源がある限り可能であろう。