読書雑感
- 作者: 村井康彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/04/09
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平安時代、権力は人事権だったようだ。富の源泉である受領の座を得るために人事権を持つ藤原氏に所領の寄進や身内人化する。藤原氏は、人事権を得る手段は外戚となることで実現している。つまり、権力奪取の大本は、娘が天皇の息子を生むか否かにかかっているわけだ。
つまり、おじいさんが主権を持つ。娘の実父である外戚がその力が駆使できるなら、息子の実父がより強いのだが、天皇自身ではなく、出家することにより、院政というシステムに移行した。
引退すれば、財産をもてるわけなので、荘園所有者となる。
国司は、国権を利用して搾取し富を蓄積して私領を広げる。それは本来の徴税対象の土地比率を下げていく。結果として、自分自身のそもそもの基盤である国家としての基盤を削り続けることになり、資料の主である土地所有者は、国家に頼ることなく自衛のために軍事基盤を持ち、最後には国家の警察・軍事基盤を肩代わりしていくことになり、武家政権の政権奪取となっている。
現代の日本でも、国としての権力の基盤は、許認可を握る政府機関であり、その官庁のトップである大臣、知事、市長の権力の源泉は人事権であろう。
施政のシステムの根幹は変わっていないのかもしれない。
- 作者: 鈴木隆
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/11/16
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高橋秀樹主演で、鈴木清順監督の映画化がされているが、無茶苦茶面白くて、映画の終わり方がいかにも続編がありそうなかんじで気になっていた。最近、文庫版で再販されて、やっと結末が理解できた。原作も面白い。
どうみても、本人がモデルだが、当人の人生の戦後も小説になりそうで書いて欲しかった。