戦国時代の終焉
戦国時代の終焉 - 「北条の夢」と秀吉の天下統一 (中公新書(1809))
- 作者: 齋藤慎一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/08/26
- メディア: 新書
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北条氏というと、時代の趨勢がつかめなくて、豊臣氏に敗北し、小田原評定など関東という地方で、対極的な視野がもてなかったというイメージだった。特に北条氏政や氏直などは、氏康までの北条三代にくらべ評価が低い。しかしながら、本書を読んでみると、必ずしもただたんに相続だけした無能のリーダかというとそうでもないようだ。むしろ、北条氏の歴史上、最大の版図を確保している。
本書は、豊臣の小田原合戦前夜に「関東統一」を実現目前にまい進していた関東の北条氏の状況を描いている。
戦国時代の終焉時期、各地方は、群雄割拠から、ある程度の収束がおきている。
九州では、島津、四国、中国地方、東北の伊達氏など、地域ではすでに群雄割拠の段階から集権化がおきている。横並びの状態から、1歩抜け出た勢力が周辺を統合していく。
地方の家電量販店など流通業などの経済も似たところがある。家電量販店は、街の電気屋を駆逐し、各地域で大型店舗チエーンに圧倒されてきた。関東、中部、関西など各地域でそれぞれに大型家電量販店チェーンも、その経済圏を統一したとき、よりおおきな経済圏を制覇した量販店チェーンにのみこまれていく。
テレコム業界もそのようなところはないだろうか。鎖国状態で国単位で閉じていた市場がグローバル化で、一挙により大きな経済圏での勝者にのみこまれかねない。国内ではガリバーのテレコム業者も、世界規模であればけっしておおきな市場規模ではない日本という市場の経済圏規模では太刀打ちできない。金融もしかり。グローバル規模で競争力があるのは自動車などごく一部の製造業んみであろう。
日本企業も日本という市場のみで。トップシェアをきそっていても、よりおおきな力をもった競争者が現れても、国内では相変わらず構造改革という小田原評定をしているのだろうか。