門閥か学歴か
明治維新により、旧来の門閥のみならず下層階級から支配層に残ったのは幕末の志士たちだったのだろうか。幕末、明治初期の混乱時に活躍した志士たちというよりも、残ったのはその周辺にいた実務家たちだったかもしれない。幕府を始めとする従来の統治側が退場した結果、時代の変革者は破壊ではなく創造が求められた。その結果、新たな社会を担って行くのは、各藩が育成してきた人材だった。過去の地位や功労および家柄ではない基準が人材登用に必要になる。
その基準は、学歴と試験結果という客観的な事実が評価できうるものになるのは、中国や朝鮮での科挙制度が典型的なものだろう。明治時代以降、官僚の高文試験や軍人の学校時代の成績順で決まることに帰結する。人の能力を数値化して評価することが必須だが、残念ながら数字化できる能力は1部でしかない。数値化できなものは、「徳」という精神論に向かいがちでもある。
戦後の経済発展と民主化は、教育の大衆化をもたらし、歴史上もっとも多くの人々に機会を与えられる時代になったともいえる。しかしながら、低成長時代となり、すくないパイを分け合う中で「格差」と呼ばれる現実が迫っている。
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