matsuok’s diary

あくまでも個人的意見であり感想です

アルキメデスの大戦 映画を観て

映画『アルキメデスの大戦』

上演最終日に観たが、会場は閑古鳥が鳴きゆったりと鑑賞できた。
戦艦大和の建造をめぐるさまざまな謀略を描いた三田紀房による同名マンガを、菅田将暉主演、「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」の山崎貴監督のメガホンで実写映画化。単行本原作の漫画は十七巻に及ぶ大作であり、私は原作漫画を読んではいないが、どうもごく一部のみを映像化したようだ。
個人的な興味を持ったのは、主人公の数学の天才が過去の見積データの中からモデル化を瞬時に行い、鉄総量と艦種から見積もり金額を求める数学モデルを作り出したことだ。

これは最近注目の深層学習による手法に近い。現実には、高性能なコンピュータ資源と大量の学習データ、つまり過去の多数の実績データが必要となる。多数の項目を様々な分類と相関関係を導き出す。大量のラベル付けされたデータが必要。高度なコンピュータの処理能力が不可欠。
機械学習は、大量のデータから規則性や関連性を見つけ出し、判断や予測を行う手法。そのためには、「色と形に注意」のように着目すべき特徴(特徴量)を人間が指定する必要がある。機械学習では、「色と形に注意」のように着目点を指示する必要がありましたが、Deep Learning(深層学習)の場合は指示をしなくても自動で学習。ただし、精度を高めるには大量のデータが必要になり、読み込ませるデータによって学習の方向性も変わるので慎重に選ぶ必要があり。

今回は、艦種と使用する鉄総量から見積もり金額をもとめてしまうのだが、話としては分かりやすいが、あまりにも要素が少ない。映画シーンの中で過去の見積事例に当てはめるとぴたりと一致しすぎ。近似値なら納得できるが、観客からみると、劇的な見せ場になるので脚本的には正解。
劇中にもあったが抱き合わせ発注もあるので個別見積もりレベルでは、誤差も大きいはずだ。計画から検討期間や建造期間がかなり長期間に渡るので技術的環境の変化や景気動向の変化による原材料や工賃などの人件費の経年変化も大きいはずだ。対ドルレートなどの要素も必要な気がする。

まあ、フィクションかつ娯楽ものなので、別に正誤のほどを論議するのは野暮というものだが。
私の若かりし頃、ソフトウェア開発における見積もりには大変難しいものであり、もはや、理論ではなく度胸とカンに頼るものだった。

見積もりに深層学習による手法を用いたらそれなりの近似値が得られるとはおもうのだが、過去の見積自体の曖昧さと成果物の定量化もあいまいで、完成したシステムの価値評価自体がモデル化できていない。大手の各SI企業がが各自公開するのも手の内が知られてしまい受注競合時に不利、原価構造の異なる企業のデータをどう評価するかも悩ましい。受注側ではなく発注側にて得たデータを公共向けシステムにて評価するのが、まずは手始めだろう。

軍事調達費こそ公共事業の最たるものだから、今回の軍艦見積もりは、よい分析対象であったと、勝手に納得した。