ボーナス6年連続引き上げへ=国家公務員、民間参考に-人事院勧告
公務員は民間企業勤務より、薄給であり優秀な人材が集まりにくいという観点から民間参考に-人事院勧告がされています。
民間企業勤務は、倒産や経営悪化で失職するリスクがあるが、公務員にはそれが無い。そのメリットを考慮するなら、ボーナスや給与を民間並みに揃えるというのは違和感を感じます。
結果として、公務員は就職先として希望者が多く狭き門であるというのが現実です。
早期退職リスクが無いので、民間労働者よりも厚生年金も高い水準で給付されます。
低賃金の非正規労働者比率が高い現状、国民全体からみると明らかに優遇されて言えるのではないでしょうか。またその結果、公務員の総数が抑制された結果、行政現場では非正規労働者が増加していますが、その人達は人事院勧告対象となっていないのではないでしょうか。
国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させること(民間準拠)を基本に勧告を行っています。
平成30年人事院勧告によれば
給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント
https://www.jinji.go.jp/kankoku/h30/pdf/30point.pdf
民間給与との比較は、主な給与決定要素を同じくする者同士で比較する必要
国家公務員の人員数のウェイトを用いたラスパイレス比較
「主な給与決定要素」とは、ある程度の規模である民間企業の正規雇用の役職や年齢別の平均値からなります。
ラスパイレス比較とは、国家公務員と地方公務員(地方公共団体の公務員)の基本給与額(すなわち給料のみ)を比較することで、民間給与との比較とは関連はありません。
民間企業従業員の給与水準というのは、
一部のお金持ちによって平均値が上がっている。また企業規模による違いもある。
平均値という数値のとらえ方自体に問題がある
平均であって中央値でも最頻値でもない。年収の平均ってそれほど情報としての価値はない
最頻値(多くの人の年収)や中央値(順位で真ん中の人の年収)をみると平均よりかなり小さくなります
では、最頻値や中央値の数値はいくらになるんでしょうか。
各種世帯の所得等の状況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa18/dl/03.pdf
平成29年分の調査結果からみた主要な点は、次のとおりである。
- 2 1年を通じて勤務した給与所得者については、次のとおりである。
- (1) 給与所得者数は、4,945万人(対前年比1.6%増、76万人の増加)で、その平均給与は432万円(同2.5%増、106千円の増加)となっている。
男女別にみると、給与所得者数は男性2,936万人(同2.6%増、73万人の増加)、女性2,009万人(同0.1%増、2万人の増加)で、平均給与は男性532万円(同2.0%増、104千円の増加)、女性287万円(同2.6%増、73千円の増加)となっている。
正規、非正規の平均給与についてみると、正規494万円(同1.4%増、68千円の増加)、非正規175万円(同1.7%増、30千円の増加)となっている。- (2) 給与所得者の給与階級別分布をみると、男性では年間給与額300万円超400万円以下の者が523万人(構成比17.8%)、女性では100万円超200万円以下の者が473万人(同23.6%)と最も多くなっている。
統計によって全然違う日本人の平均年収。
もはや、公務員が薄給とはいえない。特権階級になりつつあるのかもしれません。
人事院は31日、8月上旬に国会と内閣に行う国家公務員の給与改定勧告で、ボーナス(期末・勤勉手当)を6年連続で引き上げる方向で調整に入った。人事院が行った民間企業の給与実態調査で、民間のボーナスが公務員を上回る見込みであるため。
各種調査も前年比プラスとマイナスが入り交じる結果だったが、これらの調査と人事院の調査では対象となる業種の割合や規模などが異なる。人事院の調査では、民間が公務員をわずかに上回る見通しだ。
わずかだそうです。
月給の上積み分は、民間との格差が拡大傾向にある初任給や若年層に充て、それ以外は据え置く。
民間との差がわずかなことから、若手に手厚く配分し、民間の基本給に当たる「俸給表」の改定は初任給を含め若年層にとどまる可能性がある。
民間では、少子化により初任給は毎年上昇しているため、公務員採用面で考慮は必要。しかしながら、大企業でも中高年対象にリストラ増加により、中高年の平均給与は減少しているが、公務員の中高年はリストラもなく減給もない。
国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させること(民間準拠)を基本に勧告を行っています。
平成30年人事院勧告
給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント
https://www.jinji.go.jp/kankoku/h30/pdf/30point.pdf
民間給与との比較は、主な給与決定要素を同じくする者同士で比較する必要
国家公務員の人員数のウェイトを用いたラスパイレス比較
参考
地方公務員の給与水準
地方公務員の給与については、各地方公共団体の努力により、全体としては適正化が進展していますが、まだ一部の団体で給与制度・運用等に問題が残されています。今後とも適正化に向けての一層の努力が求められています。
ラスパイレス指数の算出方法
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/j-k_system/wording_ras2.pdf
ラスパイレス指数:国家公務員行(一)の俸給月額を100とした場合の地方公務員一般行政職の給与水準
ラスパイレス指数の算出方法
職員構成を学歴別、経験年数別に区分し、地方公共団体職員構成が国の職員構成と同一と仮定して算出するものであり、地方公共団体の仮定給料総額(公共団体の学歴別、経験年数別の平均給料月額に国の職員数を乗じて得た総和)を国の実俸給総額で除して得る加重平均。
ラスパイレス指数については、比較方法に矛盾があり、不公平であるとの指摘も以前から行われています。
国が地方との給与水準比較で示すこのラスには、大きな矛盾点として、比較対象における国と地方の取扱いが対等でない、あるいは、適切でないと考えられる点があります。
● 比較対象の違い
● 早期勧奨退職の慣行
さらに、国では長年にわたり幹部職員に対する早期勧奨退職の慣行があります。各府省のあっせんによる民間企業や特殊法人などへの再就職(いわゆる「天下り」)が行われてきた結果、これら幹部職員は定年を待たずして勧奨退職し、その後も高い所得水準を維持、上昇させているにもかかわらず、当然のことながら地方との比較対象からは外れているわけです。
消費者物価指数や企業物価指数などの算出に用いられ、基準時に購入したのと同じ数量を調査時に購入した場合の価格の変化を比較する。ラスパイレス指数は、調査時と基準時の価格の変化を基準時の数量をウエイトとして加重平均した計算式で示される。
国家公務員と地方公務員の給与水準を比較する際などには、人員構成で加重平均したラスパイレス指数が利用されている。